扉を開けると、そこは別世界だった。
室内に品よく飾られたカボチャグッズ。
テーブルに並べられている料理も、カボチャ料理中心だが、どれも美味しそうである。
それはいい。問題なのは、そこではない。
「すっげえ……」
着物を着崩したような服を着ているヤツ。
中世の人形のようなカッコをしているヤツ。
その他にも、様々な姿をしたものがいるこの空間は、かなり異様な場所だった。
「みんな酔狂だよなあ」
と思わず呟いたディアッカは、自分の姿を思い出して人のことは言えないか、と苦笑する。
黒い服の上に白いジャケットを羽織り、頭にはバンダナをして、さらには手袋だのナイフだの小道具までついていた。
これらは全て更衣室代わりに案内された部屋のにあったディアッカの名前入りの箱に、一緒に入っていたわけだが、その中には手紙というより手づくりのカードもおいてあった。
表には、衣装の説明。それによるとディアッカのはどこかの怪盗らしい。
名前はアラビア風なのに、衣装が全くそれっぽくないのはどうかと思うが、きっと別に意味はないのだろう。
そして、裏に書いてあったのは、とあるゲームの指令だった。
内容はこうだ。
“指令書”
“貴方にはあらかじめ指定されたパートナーがいます。
その人物を探し出して、Treak or treat!!と唱えてください。
相手の方にはあらかじめそれに対する答えを渡してあるので、それを答えられたらお相手の方の勝ち、答えられなかったら貴方の勝ちとなります。
勝った方は負けた方をパーティーの間、好きに出来ますので、頑張ってくださいませ。
ただし当然のことながら、暴力行為その他、あまりにも無理強いさせたり、人権に関わりそうなことは禁止とさせていただきます。
皆で楽しいパーティーにいたしましょうね。”
「って言われたってなあ」
指令の書かれたカードを見ながら、頭をかくディアッカ。
所詮一個人の家だ、それほどの広さはないにせよ、結構な数の招待客がいる。
手がかりはカードに貼られたシールに描かれたシルエットだが、後姿な上、小さすぎる。
いかに衣装が奇抜であろうとはいえ、見つけるのは困難だろうと思われた。
(けど、なあ。まさかパートナーってミリィじゃないよなあ……?)
一度は別れた恋人。再会を果たした今では、友達以上恋人未満程度の、微妙な関係の、彼女。
ラクスやキラとは友人の彼女のことだ、きっと招待を受けてるに違いないが、はたして自分たちにそんな世話などやいてくれるだろうか。
(もしかしたら、面白がってやってくれる……いやいやそう思わせといて、男にとか着せたりして)
そっちの方が絶対にありそうだよな、とディアッカはうつむいてため息をつき、顔をあげた。
するとその時ふと目をやれば、部屋の反対側でカードを見ながらウロウロする、ある人物の姿。
(おいおい。アイツ、あんな格好してんのか……てことはパートナーってどんなやつだよ)
普段見知った人物の思わぬ姿に、ディアッカは吹き出してしまった。
見れば他にも、パートナーを探しているらしき連中がいる。
(へー、アイツもかよ。……って、待てよ?)
探している連中と、優雅に食事を楽しんでいる人物たちとの、違い。
それを吟味した上で、もう一度カードの文を読みなおす。
するとはたして、ディアッカの考えどおりの文が書いてあった。
そうして。
「やれやれ、ま、仕方ねえから探してみるか」
――――ラクス様の命令だしな。
呟いた言葉とは裏腹の、笑みを浮かべてディアッカは会場を探し始めたのだった。
ハロウィン話、第4弾。これで終らせようと思ったら、終りませんでした(苦笑)。
まあ最後と同時アップなんで、勘弁してください。
ディアッカのコスは、まあ……最終話のパートナーさんと照らし合わせれば、分かると思います。
てか一応これディアミリなんで、相手は決まってるんですけどね(笑)
しかし、文で衣装を説明するって難しいなあ……。