「でーきった♪どう、織姫?」
「うわー可愛いね乱菊さん、ハート飛んでるよ?」
「そりゃ愛に溢れてるからねー」
「うーんそっかー、あたしも負けないようにしないと!」
「そうよそうよ、やっちゃいなさいよー」
「……おい松本」
「あら何ですか隊長」
「お前、一体何やってるんだ?」
「見れば分かるじゃないですか、表札に名前書いてるんですよ、名前」
「んなことは分かってる。じゃなくて何でわざわざそんなものを書いてるんだ?」
「そんなの、この家に住むからに決まってるじゃないですか」
「お前な……俺たちは何のためにここにいるのか分かってるのか」
「分かってますよー。だからホラ、隊長も書いて書いて」
「……全然分かってねえじゃねえか……」
「だから分かってますって。でもね、こういうの書くと何かあたしたちもこの家の一員になったって感じじゃないですか」
「…………」
「つまりそれは帰る家が出来たってことで、だから絶対に帰ってこなきゃいけないってことでね、つまり」
「……つまり、なんだ?」
「えーと」
「…………」
「えーと、そうそう、織姫!アンタも家族が増えたみたいで嬉しいわよね?」
「え?あ、うん、そうだね。確かにこうやって並んで書いてあると家族みたいだもんね」
「でしょでしょ?ほらやっぱりー。だから隊長も書かなきゃダメですなんですよ」
「何がやっぱりなんだかさっぱり分からねえぞ……」
「いいんですよそんなの別に。ああでもそうですか、隊長は嫌なんですね、この家の一員になるの」
「なっ……」
「聞いてよ織姫ー。隊長があたしたちのこと嫌いだってー」
「……え?そうなの……?」
「ち、ちが……」
「だって名前書くのいやってことは、一緒に住みたくないってことでー、つまり家族になりたくないってことでしょ?」
「何でそうなるんだ、松本!」
「冬獅郎くん……そっか……そんなに嫌なんだね……」
「お前も納得するな!」
「ああ可哀想な織姫ー。隊長が泣かしたー」
「勝手に決めるんじゃねえ!そもそも泣いてないだろうが!」
「じゃあ、名前書きます?」
「……だから、それは」
「書きますよね?」
「…………」
「冬獅郎くん……」
「……あーもう!分かった、書けばいいんだろう、書けば!」
「ホント?」
「あ、ああ」
「じゃ、そうと決まったら早速やっちゃいましょう。幸いあたしが書いたのも乾いたみたいだし」
「……っておい。どこに書けばいいんだ、これ?」
「え?あ、そっか乱菊さんがおっきく書いちゃったからね……」
「その横にでも書けばいいじゃないんですか?」
「……それしかねえか……ってお前が言うな、お前が!」
「あーん隊長が虐めるー」
「虐めてねえ!ったく……ほれ、これでいいんだろ、これで」
「わーい、ありがと♪」
「べ、別に礼を言われるようなことじゃ……」
「ううん、嬉しい。これで本当に家族になったね、あたしたち」
「…………」
「あれ?顔が赤いですよ隊長?もしかして、照れてます?」
「べ、別にっ!」
「可愛いですねーwww」
「……?どういう意味、乱菊さん?」
「え?んっふっふっ、わかんなければいいのよー。ねー隊長」
「松本ー!!」
日記からの転送。織姫の家の表札を見て怒涛の勢いで書き上げたものです。タイトルがまんますぎる(; ̄O ̄)
かなり古い記事だったので今更だと思ったのですが、いい機会だったのでUPしてみました。